『ドクトル・ジバゴ』は実話なのか?あらすじ・ネタバレ・考察・評価!

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『ドクトル・ジバゴ』はフィクションの小説ですが、作者 ボリス・パステルナーク の実体験や、ロシア革命・ソビエト体制の歴史的事実をもとに描かれています。完全な実話ではないものの、登場人物や物語の展開には、実際の出来事や人物に基づいた要素が数多く含まれています。

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小説の背景と執筆の経緯

ボリス・パステルナーク(1890-1960)は、ロシアの詩人・作家であり、元々は詩を中心に活動していました。しかし、スターリン政権下での抑圧や思想統制が強まる中、彼は自らの文学を通して個人の自由と内面的な真実を追求しようとしました。

  • 執筆時期: 第二次世界大戦後の1945年頃から執筆を開始し、1955年に完成しました。
  • 発表の困難: ソビエト政府は、パステルナークの作品が革命の公式イメージにそぐわないとして、国内での出版を禁止しました。
  • 海外での出版: 1957年にイタリアで発表され、1958年には英語訳も出版されました。このことがソ連政府の怒りを買い、パステルナークはソ連国内で批判され、政府からの監視を受けるようになります。
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物語の内容と実際の出来事の関係

『ドクトル・ジバゴ』のストーリーは、1903年から第二次世界大戦後までのロシアの激動期を舞台に、医師であり詩人でもある ユーリ・ジバゴ の人生を描いています。彼は革命と内戦の中で翻弄されながらも、自由と愛を求め続けます。

(1)ロシア革命(1917年)とその影響

作中では、ロシア革命(1917年)とその後の内戦(1918-1922年) が詳細に描かれています。これは実際の歴史と一致しており、特に以下の点が現実の出来事と関連しています。

  • 革命による混乱:
    ジバゴは裕福な家庭に生まれましたが、革命後の共産主義体制のもとで 私有財産が没収 され、家族とともに生活が困窮する場面があります。これは、実際にロシア革命後に多くの貴族や知識人が経験したことです。
  • 赤軍と白軍の内戦:
    ジバゴは戦争の混乱の中で 強制的に赤軍(共産主義勢力)に徴兵 され、医師として従軍します。これは、当時の知識人や専門職の人々が強制的に軍に徴用された史実と一致します。

(2)知識人の迫害とスターリン体制

  • ジバゴの運命:
    革命後のソビエト体制下で、ジバゴは 体制に適応できず、追放される という運命をたどります。彼は自由に詩を発表することもできず、社会の片隅に追いやられていきます。
  • 実際の迫害:
    スターリン政権(1924-1953年)のもと、多くの作家、詩人、知識人が 「反革命分子」として弾圧 され、処刑・投獄・追放されました。これはパステルナーク自身が経験したことでもあり、彼はジバゴを通して 知識人が弾圧される現実 を描いています。

(3)ララのモデルは実在の女性

ヒロイン ラリッサ(ララ) は、ジバゴが生涯愛し続ける女性ですが、彼女のモデルとされるのが オリガ・イヴィンスカヤ です。

  • オリガ・イヴィンスカヤ(1912-1995年) は、パステルナークの実際の愛人であり、彼の晩年を支えた女性です。
  • 彼女は ソ連当局によって逮捕され、強制労働収容所(グラーグ)に送られた ことがあります。これは小説の中でララが収容所送りになる運命と重なります。
  • 小説の中で ジバゴとララが再会と別離を繰り返しながらも運命に翻弄される 様子は、パステルナークとオリガの関係そのものとも言えます。
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『ドクトル・ジバゴ』の出版とその後の影響

(1)ノーベル文学賞とソ連政府の圧力

  • 1958年、パステルナークは ノーベル文学賞を受賞 しました。しかし、ソ連政府は彼を「反体制的作家」と非難し、受賞を辞退させようと圧力をかけました。
  • パステルナークは 「もし私がノーベル賞を受け入れれば、ソ連を追放されるかもしれない」と考え、最終的に辞退 しました。
  • 彼は「私は祖国を裏切りたくない」と述べましたが、国内では彼を批判する声が強まりました。

(2)パステルナークの死と名誉回復

  • パステルナークは1960年に亡くなりましたが、彼の死後も『ドクトル・ジバゴ』はソ連では長く出版禁止のままでした。
  • 1987年、ペレストロイカ(改革)の時代に入ると、ソ連政府は彼の名誉を回復し、1988年には ついにソ連国内で『ドクトル・ジバゴ』が正式に出版 されました。
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結論

『ドクトル・ジバゴ』は完全な実話ではありませんが、以下の点で 現実に強く基づいたフィクション だと言えます。

  • 歴史的事実(ロシア革命、内戦、スターリン体制の弾圧) を忠実に描いている。
  • ボリス・パステルナーク自身の経験(ソ連体制下での抑圧、知識人としての苦悩)が反映されている。
  • 登場人物(特にララ)は実在の人物(オリガ・イヴィンスカヤ)に基づいている。

つまり、フィクションでありながら、非常にリアルな物語として描かれており、実話に近い文学作品 と言えるでしょう。

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 あらすじ(ネタバレあり)

舞台は1903年から第二次世界大戦後のロシア。
主人公 ユーリ・ジバゴ は、幼い頃に両親を亡くし、親戚に育てられます。彼は成長し、医師であり詩人としての道を歩みます。一方で、ロシア革命(1917年)が勃発し、彼の運命は大きく変わっていきます。

ユーリの結婚とララとの出会い

  • ユーリは トーニャ という女性と結婚し、子供を授かります。
  • しかし、彼は 美しく聡明なララ(ラリッサ) に出会い、強く惹かれ合うようになります。
  • ララは既婚者(パーシャ・アンチーポフの妻)ですが、彼女もジバゴに特別な感情を抱きます。

革命と内戦の混乱

  • ユーリは戦争の中で赤軍に徴兵され、医師として従軍することになります。
  • その後、脱走し、ウラル地方で ララと再会し、二人は恋に落ちる。
  • しかし、ララの夫パーシャ(革命家ストレリニコフとして活動中)は赤軍の粛清に巻き込まれます。
  • やがて、ジバゴは革命政府の監視対象となり、ソビエト体制の弾圧に苦しめられます。

ジバゴの孤独な結末

  • 政治的弾圧により、ジバゴはモスクワで貧困の中で孤独に生きることを強いられます。
  • ララとも永遠に離れ離れとなり、彼女は収容所送りになります。
  • 最後、ジバゴは路上で倒れ、そのまま 孤独な死を遂げる。
  • 彼の遺した詩が、後世の人々に大きな影響を与えることになります。
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考察

① ロシア革命と個人の運命

『ドクトル・ジバゴ』は、革命によって 「自由を求める個人」がどのように犠牲になるのか を描いています。ユーリは 医師であり詩人という「理想主義者」 ですが、革命の波に飲まれ、社会に適応できず、最終的に破滅してしまいます。これは、スターリン体制下で弾圧された知識人や芸術家の象徴 でもあります。

② ララという女性の象徴性

ララは単なる恋愛相手ではなく、ユーリにとって 「真の自由と愛の象徴」 です。
しかし、彼女もまた革命の波に翻弄され、最後には消えてしまいます。
これは、革命がもたらした理想と現実のギャップを象徴している と考えられます。

③ ユーリの詩と「芸術の力」

物語の最後、ユーリは自らの詩を遺し、その詩が後世の人々に影響を与えます。
これは、パステルナーク自身が詩人として 「権力によって弾圧されても、芸術は決して滅びない」 というメッセージを込めたとも考えられます。

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評価

◎ 良い点

  • 壮大なスケールで描かれるロシア革命と個人のドラマ
  • 美しい文学的表現と詩的な文章
  • 登場人物の心理描写が深く、特にララのキャラクターが魅力的
  • 「革命と個人の関係」という普遍的なテーマが描かれている

△ 気になる点

  • 登場人物が多く、ストーリーが複雑で分かりにくい
  • 政治的背景をある程度理解していないと、完全には楽しめない
  • 終盤は暗く、救いのない展開が続く

総評:★★★★★(5/5)

『ドクトル・ジバゴ』は、単なる恋愛物語ではなく、「革命が個人の人生に与える影響」 を鋭く描いた歴史文学の傑作です。壮大な物語と詩的な文章が融合し、深い感動を与えてくれます。読むのに時間と労力は必要ですが、その価値は十分にあります。

 

本記事の内容は、執筆時点で入手可能な情報に基づいておりますが、情報が最新でない場合や誤りが含まれる可能性がございます。ご理解いただければ幸いです。又当サイトの画像はAIによるイメージ画像です。ご理解のほどよろしくお願いします。
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