映画『コラテラル』は、2004年8月5日に公開されたアクション・スリラー映画で、アメリカを代表する名監督マイケル・マンによって手掛けられました。この映画は、冷酷で効率的なヒットマンと平凡なタクシードライバーがロサンゼルスの夜を駆け巡るスリリングな一夜を描いています。主演には、これまでのキャリアでヒーロー役を多く演じてきたトム・クルーズが冷徹なヒットマン「ヴィンセント」を演じ、タクシードライバー「マックス」役にはジェイミー・フォックスが抜擢されました。この異色のキャスティングと、ロサンゼルスの夜を背景にした映像美が話題を呼び、公開後には観客から絶賛を浴びました。
映画はネオノワールのテイストを持ち、物語全体を通して緊張感に満ちた暗いムードが漂っています。夜の街を舞台にした物語において、マイケル・マンのこだわり抜かれたカメラワークとリアルな演技指導が、リアリズムと迫力を生み出しています。観客は、まるで自分がそのタクシーに乗っているかのような臨場感を味わうことができるでしょう。
『コラテラル』あらすじ
映画の冒頭では、平凡で真面目なタクシードライバーのマックス(ジェイミー・フォックス)が、ロサンゼルスの街を走り続ける日々を送っています。彼は長年タクシー運転手として働き、いつか独立して自分のリムジンサービスを始めたいという夢を抱いています。しかし、その夢とは裏腹に現実は平凡で、毎日同じ日々が繰り返されていました。
そんなある日、彼のタクシーに乗り込んだのは、冷酷なヒットマンのヴィンセント(トム・クルーズ)でした。ヴィンセントは、ロサンゼルスにやってきた目的を隠しながら、マックスに「一晩中乗せてくれ」と依頼します。最初はヴィンセントの正体を知らないマックスでしたが、彼が1人目のターゲットを暗殺した瞬間から、全てが一変します。ヴィンセントの計画は、ロサンゼルスの各所にいる5人のターゲットを一夜にして暗殺することでした。マックスは、ヴィンセントに脅されながらも、次第に彼の冷酷さと自分の無力さに恐怖を覚えます。
内容 | 詳細 |
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開始 | マックスがヴィンセントを乗せ、タクシー内での静かな一夜が始まる。 |
途中 | マックスはヴィンセントの計画に巻き込まれ、次々と暗殺を目撃し、逃げ出そうと試みる。 |
終盤 | マックスは自らの恐怖を乗り越え、最終的にヴィンセントと対決する覚悟を決める。 |
『コラテラル』ネタバレ
映画のクライマックスでは、ヴィンセントのターゲットが最終的にマックスが思いを寄せるアニーであることが判明します。ヴィンセントは、冷酷にターゲットを排除しようとする一方で、マックスは恐怖に打ち勝ち、アニーを救うために立ち上がります。マックスはタクシーでヴィンセントを振り切り、勇気を振り絞って彼に立ち向かいます。最終的に、地下鉄内での緊迫した銃撃戦の末、ヴィンセントは致命傷を負い、孤独な死を迎えます。彼が最期を迎えた後、ロサンゼルスの夜が静かに再び動き出し、マックスとアニーが命を取り留めたことで物語は幕を閉じます。
内容 | 詳細 |
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クライマックス | マックスがアニーを守るためにヴィンセントに立ち向かい、地下鉄での決闘が繰り広げられる。 |
結末 | ヴィンセントは最期を迎え、マックスとアニーが新たな朝を迎える。 |
『コラテラル』考察
映画『コラテラル』のテーマは、偶然と運命、そして人間の成長です。冷酷なプロフェッショナルとしてのヴィンセントと、平凡なタクシードライバーであるマックスとの対比が描かれ、彼らの関係が映画全体の緊張感を生み出しています。ヴィンセントは、偶然の出来事にも冷徹に対処し、自らの任務を遂行しようとしますが、マックスはそんな彼に直面することで、次第に自分自身を見つめ直し、勇気を振り絞って行動します。この映画は、個々の選択が人間の運命をどう左右するのかという問いを観客に投げかけています。
また、映画ではロサンゼルスの街がもう一人の登場人物として機能しています。夜の街並みと冷たい色調が、物語の緊張感を一層引き立てており、観客に孤独と危険が潜む都会の雰囲気を味わわせます。
内容 | 詳細 |
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テーマ | 偶然と運命、人間の成長、選択の重要性 |
登場人物 | マックスは、平凡な日常から抜け出し、勇気を振り絞って運命に立ち向かう。 |
『コラテラル』キャスト
俳優名 | 役柄 | 過去の代表作 |
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トム・クルーズ | ヴィンセント | 『ミッション:インポッシブル』シリーズ、『トップガン』(1986) |
ジェイミー・フォックス | マックス | 『レイ』(2004)、『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012) |
ジェイダ・ピンケット・スミス | アニー | 『マトリックス』シリーズ、『ガールズ・トリップ』(2017) |
マーク・ラファロ | レイ・ファニング | 『アベンジャーズ』シリーズ、『スポットライト』(2015) |
ハビエル・バルデム | フェリックス | 『ノーカントリー』(2007)、『スカイフォール』(2012) |
『コラテラル』原作
映画『コラテラル』は、オリジナルの脚本を基に制作されており、特定の小説や既存の物語に基づいていません。脚本を担当したのはスチュアート・ビーティーで、彼は実際にシドニーでタクシーに乗った際に着想を得てこの物語を構想しました。映画の展開は彼の独自の視点から描かれたものであり、観客に一夜の緊迫感を提供しています。
『コラテラル』評価
『コラテラル』は、公開当初からその革新的な撮影手法や、緻密に描かれたキャラクターによって高い評価を受けました。特に、トム・クルーズが従来のヒーロー役とは異なる冷徹な悪役を見事に演じた点が話題を呼びました。また、ジェイミー・フォックスも平凡なタクシードライバーが成長していく様を繊細に表現し、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど、その演技力が高く評価されました。