『ゆるキャン△』の実写映画は、原作のファンから見れば「これじゃない」と思われがちな要素を含みつつも、その核となる魅力をしっかりと捉えています。一見、「ひどい」と評される可能性のある変更点―たとえば、彼氏の存在や大人のキャラクターの不自然な行動―が、物語の深層にあるやりがいや生活の喜びを探求する旅において、新たな視点を提供します。映画は、失敗と見なされる部分があっても、静かなキャンプのシーンやキャラクター間の温かい交流を通じて、やりがい搾取や鬱を感じさせる現代社会において、いかにして自己の幸せを見つけ、成長していくかを描き出しています。
夢オチのような予想外の展開が視聴者を驚かせるかもしれませんが、『ゆるキャン△』はその心地よいペースと自然美に対する愛で、日常からの小さな逃避を提供します。大人たちがなぜキャンプに興味を持つのか、その理由は彼らが求める心の安らぎと、忙しい日常から離れた時の静けさにあります。映画は、その単純ながらも強力なメッセージで、多くの人々にとって心を満たす経験となります。
ゆる キャン映画:あらすじ
2022年には『ゆるキャン△』の実写映画が公開されました。この映画は、人気の同名マンガ及びアニメシリーズ『ゆるキャン△』を原作としています。『ゆるキャン△』は、静岡県を舞台に、キャンプを通じて友情を深めていく女子高生たちの日常と成長を描いた作品です。
あらすじとしては、主人公のリン(志摩リン)は、一人で冬キャンプを楽しむのが好きな高校生。ある日、彼女は偶然、同じ高校に通うなでしこ(各務原なでしこ)と出会います。なでしこはキャンプに興味を持ち始めたばかりで、リンからキャンプの楽しみ方を少しずつ教わっていきます。映画では、リン、なでしこ、そしてその他の友人たちが集まり、キャンプを通じてさまざまな経験を共有し、互いの絆を深めていく様子が描かれています。
物語は、キャンプを軸にしながらも、友情、成長、そして日常の小さな幸せを見つけることの大切さを教えてくれます。美しい自然の風景、温かい人間関係、そしてゆったりとしたペースで進む物語は、多くの視聴者にとって心安らぐ時間を提供します。『ゆるキャン△』の映画版は、原作ファンはもちろん、これからこの物語に触れる人々にも、キャンプの魅力と日常の小さな喜びを再発見させてくれる作品です。
ゆる キャン映画:登場人物
名前 | 役割 |
---|---|
志摩リン | 一人でキャンプを楽しむことを好む高校生。 |
各務原なでしこ | キャンプに興味を持ち始めたばかりの高校生。リンと友情を深めていく。 |
大垣千明 | なでしこと同じ高校に通う活発な友人。アウトドア活動に熱心。 |
犬山あおい | 千明の小学校からの親友。静岡県の山梨県側で育つ。 |
斉藤恵那 | キャンプ好きの高校生。高級キャンプギアに目がない。 |
鳥羽美波 | リンの同級生で、キャンプに誘う。 |
ゆる キャン映画:ひどい
ネットで「ひどい」という言葉が色々と出てきているのが気になりました。それにはどのような意味がこもっているのでしょうか。皆さんが一番期待をしていたのが彼女らのキャンプシーンであり、それが少なかったというのが1つの大きな要因みたいでした。
また、今までのゆるゆるとキャンプを楽しんでいた様子が気に入っていたのに、大人になった彼女らの展開していく様子に期待外れ感を持ってしまっているようでもありました。自分らの気に入っていた部分がそぎ落とされた表現になっているのはかなりショックだったと思います。
しかし、良い評価もあるのでこの作品は別れてしまうタイプなのだと感じました。そして良い評価の人からは、高校生から大人になった皆の成長が見られた事、それでも彼女らのゆるーい雰囲気が持続しているのが良かったという内容でした。
また社会人となった方からは共感できる部分もあって良かった、という意見も見られました。私はアニメ版もドラマ版も観てきましたが、それ程コアなファンではないからか、本作を見て「みんな大人になったんだなぁ~」とその成長に嬉しくなり、また仲間たちと共同作業を頑張る様子を楽しんで観れたというのが率直な感想でした。
ゆるキャン映画:これじゃない
この映画に「これじゃない」と感じる方々は、「ひどい」といった感想を持つ人と同じような意見だと思いました。やはり高校生のリンやなでしこらが、ゆったりとキャンプにいそしむ姿を観たかった気持ちが大きかったのではないでしょうか。
キャンプの様子が主軸とはなっていなくて、成人した彼女らの社会人としての忙しい日々がメインの様で、そんな中でも”キャンプ地”を仲間たちが中心となって協力し合って開拓して行く物語なので、大きな違和感を感じてしまったのではないでしょうか。
また、年頃の女性が集まっているのに全く男性の話が出てこない所に不自然さを感じられた方もいるようです。私の考えでは彼女らの青春群像劇というより、ソフトなキャンプ風景がメインテーマなのであえてその部分に触れなくても良いのではないかと思いました。しかし、アニメの2期が終わってこの映画版が大人の設定という事を考えると、ひょっとしたら3期で少しは彼氏ネタも出てくるのかなぁと少し期待してしまう私なのでした。
ゆるキャン映画:やりがい搾取
みんなでキャンプ場を作って行く模様が展開されて行きますが、事業として進んで行く中でリンらの立ち位置がどうもハッキリせずモヤモヤしていました。なんだかみんながボランティアでやっている感じが否めなく、そういった点からも”やりがい搾取”という言葉が連想されるのだと思います。
ちょっと一言で良いので責任者的な人物からの説明を入れておいてくれたら良かったのか、そこを入れるとこのゆるっとした雰囲気からより逸脱してしまうのかと悩ましい点でもありました。