『サウンド・オブ・ミュージック』は、リチャード・ロジャース(作曲者)とオスカー・ハマースタイン2世によって生み出された名作ミュージカルであり、今なお世界中で愛され続けています。
その魅力は、家族の絆、音楽の力、自由への憧れを描いた感動的な物語にあります。
登場人物も個性豊かで、主人公マリアや厳格なトラップ大佐、そして愛らしい末っ子グレーテルをはじめとする7人の子供たちが、音楽を通じて成長していく姿が印象的です。
物語のあらすじは、修道院で修行していたマリアがトラップ家の家庭教師となり、音楽を通じて子供たちの心を開いていくところから始まります。
しかし、時代背景は1938年のナチス占領下のオーストリア。
祖国への忠誠を貫くトラップ大佐はナチス海軍への参加を拒否し、家族と共に逃亡を決意します。
娘リーズルは郵便配達員のロルフと恋に落ちますが、彼はナチス側につき、最後には一家を裏切る形となります。
本作は実在のトラップ一家の実話を基にしていますが、映画と歴史には違いもあります。
例えば、映画の最後結末ではトラップ一家がアルプスを越えてスイスへ逃亡しますが、
実際には列車でイタリアへ亡命しました。
また、修道院の尼僧たちが一家を助けるために罪を犯しましたとされるシーンでは、ナチスの車の部品を外すことで追跡を妨害する場面が描かれています。
映画のその後、トラップ一家はアメリカへ移住し、「トラップ・ファミリー・シンガーズ」として音楽活動を続けました。
現在では、彼らの子孫がバーモント州で「トラップ・ファミリー・ロッジ」を運営しています。
また、映画の子供 現在についても、トラップ家の子供たちを演じた俳優の中にはすでに亡くなった人もいれば、さまざまな分野で活躍を続けている人もいます。
『サウンド・オブ・ミュージック』が伝えたいことは、家族の愛、音楽の力、自由の尊さ、そして信念を貫く勇気です。
どんな時代でも自分の信じる道を進むことの大切さを、この作品は私たちに教えてくれます。
サウンドオブミュージック 魅力
『サウンド・オブ・ミュージック』の魅力は、音楽、ストーリー、キャラクター、映像美が見事に融合し、世代を超えて愛される作品であることにある。
まず、音楽の素晴らしさがこの映画の最大の特徴の一つであり、「ドレミの歌」「エーデルワイス」「私のお気に入り」などの名曲が、観る人の心を温かく包み込む。
これらの楽曲はストーリーの中で自然に組み込まれ、登場人物の感情や成長を表現する重要な役割を果たしている。
ストーリーの魅力は、修道院から家庭教師として派遣されたマリアが、厳格なトラップ大佐とその七人の子供たちの心を開いていく過程にある。
最初は規則に縛られた冷たい雰囲気の家族だったが、マリアの明るさと音楽の力によって、愛と絆を取り戻していく。
この過程が感動的に描かれ、観客に希望と勇気を与えてくれる。
さらに、トラップ大佐自身も、音楽とマリアの影響を受けて、次第に心を開き、家族との本当の幸せを見つけていく様子が温かく描かれている。
また、キャラクターの魅力も大きな要素となっている。
マリアの無邪気で明るく、時におっちょこちょいな性格は、観る人に親しみやすさを感じさせる。
一方で、トラップ大佐は当初厳格で冷淡な人物として登場するが、実は深い愛情を持った父親であることが次第に明らかになる。
子供たちもそれぞれ個性豊かに描かれており、特に長女リーズルの恋のエピソードや、末っ子グレーテルの愛らしさなどが印象に残る。
映像美もこの映画の魅力の一つである。
冒頭のザルツブルクの雄大な風景に広がる「サウンド・オブ・ミュージック」の旋律は、まさに映画史に残る名シーンとして知られる。
アルプスの山々や広大な草原、美しい修道院や城のようなトラップ家の屋敷など、ロケーションの素晴らしさが映画に深みを与えている。
特に、ラストシーンでトラップ一家がアルプスの山を越えていく場面は、自由への希望を象徴する美しい映像となっている。
『サウンド・オブ・ミュージック』は、家族の愛、音楽の力、自由への渇望といった普遍的なテーマを描いた作品であり、どの世代の観客にとっても共感できる内容となっている。
音楽と映像が調和し、登場人物の成長や変化を通して希望や勇気を感じられることが、この作品が長く愛され続ける理由である。
サウンドオブミュージック 登場人物
『サウンド・オブ・ミュージック』の登場人物
マリア・ライナー
主人公であり、ザルツブルクの修道院で修行をしていたが、奔放で活発な性格のため修道女に向いていないと考えられ、トラップ家の家庭教師として派遣される。
最初は厳格なトラップ大佐に圧倒されるが、持ち前の明るさと音楽の力で子供たちと心を通わせ、家族に温かさを取り戻す。
やがてトラップ大佐と恋に落ち、結婚する。
ゲオルク・フォン・トラップ大佐
トラップ家の父親であり、元オーストリア海軍の艦長。
妻を亡くして以来、厳格な規律を重んじ、子供たちにも軍隊式のしつけを行っている。
しかし、マリアの影響で次第に心を開き、子供たちとの本当の絆を取り戻す。
ナチス・ドイツによるオーストリア併合に強く反発し、家族とともに亡命を決意する。
トラップ家の子供たち
トラップ大佐の7人の子供たちは、それぞれ異なる個性を持ち、マリアの音楽と優しさによって変化していく。
- リーズル(16歳) 長女。思春期の少女で、郵便配達員のロルフに恋をするが、彼がナチス側についたことで傷つく。マリアを母のように慕うようになる。
- フリードリッヒ(14歳) 長男。家族の中で最も理知的で大人びた性格だが、マリアの影響で柔らかさを見せるようになる。
- ルイーザ(13歳) やんちゃでいたずら好きな性格。最初はマリアをからかうが、次第に信頼するようになる。
- クルト(11歳) 明るく無邪気な少年。音楽に対する興味が強く、マリアの歌を最も楽しむ一人。
- ブリギッタ(10歳) 賢く洞察力のある少女。マリアが家族に与える影響に最も早く気づく。
- マルタ(7歳) 甘えん坊でかわいらしい性格。マリアに懐き、彼女を母親のように慕う。
- グレーテル(5歳) 末っ子で、一家の中で最も幼い。マリアをすぐに受け入れ、温かい愛情を求める。
エルザ・シュレーダー男爵夫人
トラップ大佐の婚約者。
裕福で洗練された女性だが、子供たちにはあまり関心がなく、母親としての役割を果たすつもりはない。
大佐が次第にマリアに惹かれていることを悟り、身を引く。
マックス・デトワイラー
トラップ家の友人であり、音楽プロデューサー。
ナチスに迎合する立場を取っているが、トラップ家の才能を見出し、音楽祭への出場を促す。
家族の逃亡の際には協力し、結果的に助ける役割を果たす。
マザー・アッバス
修道院の院長で、マリアの恩師。
マリアの天真爛漫な性格を理解し、彼女に家庭教師の仕事を与える。
マリアが恋に悩んだときには「自分の心に正直に生きることが大切」と助言し、最終的にトラップ家の逃亡を助ける。
ロルフ
郵便配達員でリーズルの恋人だったが、次第にナチスに染まり、党の一員となる。
トラップ一家の逃亡を知るが、最後の瞬間にリーズルのために通報をためらう場面がある。
『サウンド・オブ・ミュージック』の登場人物たちは、それぞれの成長や変化が丁寧に描かれており、音楽とともに心に響く物語を作り上げている。
サウンドオブミュージック あらすじ
修道女見習いのマリアは、自由奔放な性格が修道院に合わず、ザルツブルクに住むトラップ大佐の家で七人の子供たちの家庭教師を務めることになる。
厳格な大佐のもとで軍隊のように育てられていた子供たちは、最初はマリアに反発するが、彼女の明るさと音楽の力によって次第に心を開いていく。
やがて大佐自身もマリアに惹かれ、婚約者のシュレーダー男爵夫人と別れ、マリアと結婚する。
しかし、時代は第二次世界大戦の直前で、オーストリアはナチス・ドイツに併合される。
祖国への忠誠を貫く大佐はナチス海軍への参加を拒否し、家族とともに亡命を決意する。
音楽祭の出演を利用して逃亡の機会を作るが、ナチスの追跡を受け、修道院に身を隠す。
修道女たちの協力で追跡を逃れた一家は、アルプスの山を越えて自由を求める旅へと出発する。
サウンドオブミュージック 最後結末
映画『サウンド・オブ・ミュージック』の結末は、トラップ一家がナチスの支配から逃れるための緊迫した展開と、希望に満ちたラストシーンで締めくくられます。
オーストリアがナチス・ドイツの支配下に入る中、トラップ大佐はナチス海軍への参加を強制されます。
しかし、彼はこれを拒否し、家族と共に祖国を脱出することを決意します。
その計画を隠すため、彼らはザルツブルク音楽祭に出演し、ステージ上で「さようなら、ごきげんよう(So Long, Farewell)」を歌います。
子供たちは一人ずつ舞台から退場し、観客に別れを告げますが、これは彼らが逃亡するための策略でもありました。
ナチスの将校たちは観客席から彼らを監視しており、逃亡を阻止しようとしています。
音楽祭を終えた一家は修道院へと身を隠します。
しかし、すぐにナチスの兵士たちが彼らを捕らえようと修道院へやってきます。
修道院の尼僧たちは機転を利かせ、ナチスの車両の部品を取り外すことで追跡を遅らせる作戦を実行します。
この助けにより、トラップ一家は無事に修道院の裏口から抜け出し、アルプスの山へ向かいます。
最後のシーンでは、トラップ一家が手を取り合いながら山道を歩き、スイスへ向かう姿が映し出されます。
険しい道を進む彼らの姿は、自由への強い願いと家族の団結を象徴しており、感動的なフィナーレを迎えます。
実際の歴史では、彼らはスイスではなくイタリアを経由してアメリカへ亡命しましたが、映画ではアルプスの壮大な風景の中、自由を求める希望に満ちた旅が描かれています。
サウンドオブミュージック 実話
『サウンド・オブ・ミュージック』は、実在のトラップ一家の物語を基にしていますが、映画と実際の歴史にはいくつかの違いがあります。
物語の主人公マリア・フォン・トラップは、1926年に修道女見習いとしてノンベルク修道院にいましたが、修道院長の勧めでトラップ大佐の家に家庭教師として派遣されました。
映画では七人の子供たちを教える設定になっていますが、実際には次女マリアの家庭教師として雇われ、後に他の子供たちの教育も担当するようになりました。
トラップ大佐は映画では冷徹で厳格な父親として描かれていますが、実際は優しく愛情深い人物でした。
子供たちも軍隊式のしつけを受けていたわけではなく、すでに音楽が好きな家族でした。
マリアと大佐は1938年ではなく、1927年に結婚しており、二人の間にはさらに三人の子供が生まれました。
ナチス・ドイツがオーストリアを併合した際、トラップ大佐はナチスの海軍への参加を求められましたが、これを拒否し、家族とともにオーストリアを脱出しました。
映画ではアルプスを越えてスイスへ向かうシーンが描かれていますが、実際には列車でイタリアへ逃れ、その後アメリカへ移住しました。
亡命後、一家は「トラップ・ファミリー・シンガーズ」として合唱団を結成し、アメリカ各地で演奏活動を行いながら生活を築いていきました。
映画『サウンド・オブ・ミュージック』は実話を基にしていますが、ドラマチックな演出のために脚色された部分も多く、特にトラップ一家の脱出方法やマリアと大佐の関係性などには大きな違いがあります。
それでも、音楽の力で家族が結ばれ、自由を求めて旅立つというテーマは実際のトラップ一家の精神を反映しており、多くの人々に感動を与え続けています。
サウンドオブミュージック ナチス
『サウンド・オブ・ミュージック』の物語の背景には、ナチス・ドイツによるオーストリア併合(アンシュルス)が大きく関わっています。
物語の舞台となる1938年、ナチスはオーストリアをドイツに併合し、トラップ大佐のような愛国的なオーストリア人にもナチスへの忠誠を強いるようになりました。
トラップ大佐は元オーストリア海軍の指揮官であり、映画ではナチスからドイツ海軍への参加を求められます。
しかし、彼はナチスに従うことを拒否し、家族とともに亡命を決意します。
映画では、音楽祭での演奏を利用して逃亡の機会を作り、修道院に身を隠してからアルプスを越えてスイスへ向かうシーンが描かれています。
ナチスの影響は物語の中でも随所に見られ、特にトラップ家の長女リーズルの恋人であるロルフは、物語の中でナチスの一員となります。
彼は最初は優しい青年として描かれていますが、ナチスに傾倒するにつれて態度が変わり、最終的にはトラップ一家を追い詰める側に回ります。
しかし、最後の修道院での場面では、リーズルへの想いから通報をためらう描写もあり、時代に翻弄された若者の姿を象徴的に表しています。
実際の歴史においても、ナチスの支配が強まる中で多くのオーストリア人がドイツへの同化を余儀なくされ、反ナチス的な立場を取る者は危険な立場に置かれました。
映画では、トラップ一家がナチスからの逃亡に成功することで自由の象徴として描かれていますが、現実では亡命を決断できずにナチスに従う道を選んだ人々も多くいました。
『サウンド・オブ・ミュージック』は、ナチスの脅威と抑圧の中で、自らの信念を貫こうとしたトラップ一家の姿を描き、音楽の力と自由への願いを象徴する作品となっています。
サウンドオブミュージック ロルフ 裏切り
『サウンド・オブ・ミュージック』に登場するロルフは、トラップ家の長女リーズルの恋人であり、最初は優しく純粋な青年として描かれます。
しかし、物語が進むにつれ、彼はナチスに傾倒し、結果的にトラップ一家を裏切る立場になります。
映画の序盤では、ロルフは郵便配達員として登場し、リーズルと密かに恋に落ちています。
二人は「Sixteen Going on Seventeen(もうすぐ十七歳)」を歌いながら恋のときめきを表現し、ロルフはリーズルを大人扱いしつつも優しく接します。
しかし、ナチスの影響がオーストリアに広がるにつれ、彼の態度は次第に変わっていきます。
ナチスの支配が進む中、ロルフはナチス青年団に所属し、体制側の一員となります。
彼は次第にリーズルとも距離を置き、かつての穏やかでロマンチックな青年ではなく、権力に従順な兵士へと変わっていきます。
トラップ一家が逃亡を図るとき、修道院の敷地でロルフは彼らを発見し、銃を向けてしまいます。
しかし、決定的な裏切りの瞬間において、ロルフは複雑な表情を見せます。
トラップ大佐は彼に「君はまだ若い。ナチスのような組織に飲み込まれるな」と諭しますが、ロルフは動揺しながらもナチスへの忠誠を優先し、最終的にはトラップ家の逃亡を知らせるために警報を鳴らします。
この行動によって、彼がナチス側に完全に取り込まれてしまったことが明確になります。
ロルフの裏切りは、戦争という時代の影響を強く受けた若者の姿を象徴しており、純粋な恋心を持っていたはずの青年が体制側の圧力に屈し、大切な人をも裏切るという悲劇を描いています。
映画ではトラップ一家が逃亡に成功するものの、ロルフの変化はナチスの支配が若者たちにどのような影響を及ぼしたかを示す重要な要素となっています。
サウンドオブミュージック 作曲者
『サウンド・オブ・ミュージック』の楽曲は、リチャード・ロジャース(作曲)とオスカー・ハマースタイン2世(作詞)によって作られました。
リチャード・ロジャースはアメリカの作曲家で、ミュージカルの分野で多くの名作を生み出しました。
彼はオスカー・ハマースタイン2世とコンビを組み、『オクラホマ!』『回転木馬』『王様と私』など数々の名作ミュージカルを手掛けました。
『サウンド・オブ・ミュージック』は二人が共同で手掛けた最後の作品であり、ハマースタイン2世は映画公開前の1959年に亡くなりました。
そのため、本作は彼の遺作ともなりました。
映画や舞台で使用された楽曲には、「ドレミの歌」「エーデルワイス」「私のお気に入り」「ひとりぼっちの羊飼い」など、現在でも広く親しまれている名曲が多数含まれています。
特に「エーデルワイス」はオーストリアの伝統的な曲と誤解されるほど親しまれていますが、実際にはロジャースとハマースタインによって作られたオリジナルの楽曲です。
ロジャースとハマースタインの音楽は、物語と調和しながら登場人物の心情や成長を巧みに表現し、『サウンド・オブ・ミュージック』の魅力をさらに高める要素となっています。
サウンドオブミュージック グレーテル
グレーテルは、『サウンド・オブ・ミュージック』に登場するトラップ家の子供たちの中で最年少の5歳の女の子です。
彼女は無邪気で愛らしく、姉や兄たちに甘えながらも、マリアにすぐに懐く素直な性格を持っています。
映画では、マリアが初めてトラップ家を訪れた際に、子供たちが彼女を試すために次々と名前を名乗るシーンで、グレーテルは最後に恥ずかしそうに小さな声で「私はグレーテル」と自己紹介する姿が印象的です。
また、「ドレミの歌」のシーンでは、マリアと一緒に楽しそうに歌い踊る姿がとてもかわいらしく、観客の心をつかみます。
映画の終盤では、トラップ一家が修道院に身を隠れているとき、彼女は兄や姉とともに緊張した表情を見せますが、無事に逃げ出し、アルプスの山を越えて家族とともに自由を求めて旅立ちます。
グレーテルを演じたのはキム・カラス(Kym Karath)で、当時わずか5歳でした。
彼女の純粋で愛らしい演技は、多くの観客にとって『サウンド・オブ・ミュージック』の中でも特に印象深いものとなっています。
サウンドオブミュージック リーズル
リーズル・フォン・トラップは、『サウンド・オブ・ミュージック』に登場するトラップ家の長女で、16歳の少女です。家族の中で最年長であり、大人になりつつある年頃で、年下の兄弟たちの面倒をよく見るしっかり者です。
しかし、恋に憧れる年頃でもあり、郵便配達員のロルフと淡い恋を育んでいます。
映画の中で最も印象的なシーンの一つが、リーズルとロルフが歌う 「Sixteen Going on Seventeen」(もうすぐ17歳)のシーンです。
リーズルはロルフに恋をし、大人の女性になりたいと憧れを抱いています。
雨の中で二人が踊るロマンチックなシーンは、彼女の純粋な恋心を象徴しています。
しかし、ナチスの影響がオーストリアに及ぶにつれ、ロルフはナチス青年団の一員となり、リーズルと距離を置くようになります。
彼の変化に戸惑いながらも、リーズルは成長し、家族を支える強さを身につけていきます。
終盤、修道院でトラップ一家が逃亡を図る際、リーズルは再びロルフと対面します。
ロルフは一家を発見しますが、一瞬ためらいながらも警報を鳴らし、最終的にリーズルとその家族を裏切る形になります。
この出来事は、リーズルにとって初めての恋の終わりと、現実を受け入れる大きな転機となります。
リーズルを演じたのはチャーミアン・カー(Charmian Carr)で、彼女の可憐な演技と歌声は今もなお多くのファンに愛されています。
『サウンド・オブ・ミュージック』の中で、リーズルの成長と初恋の喪失は青春の儚さを象徴し、物語に深みを与えています。
サウンドオブミュージック 時代背景
『サウンド・オブ・ミュージック』の時代背景は、1930年代後半のオーストリア、特にナチス・ドイツによるオーストリア併合(アンシュルス)が行われた1938年の出来事を中心に描かれています。
この時代、ヨーロッパではナチス・ドイツの勢力拡大が進んでおり、第二次世界大戦へと突入する直前の緊迫した状況でした。
オーストリアはもともと独立した国でしたが、1938年3月、ナチス・ドイツが軍を進めて併合(アンシュルス)を強行し、オーストリアはドイツの一部となりました。
この出来事により、ナチスに忠誠を誓うことを求められる人々が増え、映画の中でもトラップ大佐がナチス海軍への参加を強要される場面が描かれています。
彼はオーストリアへの愛国心からナチスの支配を拒み、家族と共に逃亡を決意します。
また、この時代のオーストリアでは、ナチスに賛同する者と反対する者の間で対立が生まれ、国民の間でも意見が分かれていました。
映画では、リーズルの恋人ロルフがナチス青年団の一員となり、最初は優しかった彼が次第に冷酷になっていく様子が描かれています。
これは、若者たちがナチスの影響を受け、従わざるを得なかった当時の社会状況を反映しています。
さらに、オーストリアの文化的な背景も重要な要素となっています。
ザルツブルクは音楽の都として知られ、映画でも音楽が重要な役割を果たしています。
特に、「エーデルワイス」はオーストリアの誇りや独立心を象徴する曲として映画の中で歌われますが、実際にはアメリカで作られた曲であり、オーストリアの伝統曲ではありません。
『サウンド・オブ・ミュージック』は、音楽と家族愛を描いた作品であると同時に、ナチスの台頭によって変化する時代と、それに対抗する個人の信念を描いた作品でもあります。
この時代背景を理解することで、トラップ一家が直面した危機と、その勇気ある決断がより深く感じられるようになります。
サウンドオブミュージック 罪を犯しました
『サウンド・オブ・ミュージック』の終盤、修道院の尼僧たちがナチスの車の部品を外し、トラップ一家の逃亡を助けるシーンは、映画の中でも象徴的な場面の一つです。
この行為は、「破壊行為(サボタージュ)」と見なすことができますが、物語の流れでは観客にとって痛快で感動的な瞬間となっています。
シーンの詳細
トラップ一家はナチスの追跡を逃れ、修道院に身を隠します。
しかし、すでにナチスの兵士たちが彼らの行方を探しており、修道院にも捜索の手が及びます。
一家が修道院の裏口から山へ向かって逃げた直後、ナチスの兵士たちは車に乗り込み、追跡を開始しようとします。
しかし、ここで思わぬ展開が起こります。
修道院の尼僧たちが何かを隠している様子が映し出され、その後、一人の尼僧が手にナチスの車の部品(点火コイルやキャブレターの一部と推測される)を持っているのを見せます。
これにより、ナチスの車両は動かなくなり、トラップ一家は逃亡の時間を稼ぐことができるのです。
この行為は「罪」なのか?
この行為は、ナチス側から見れば「妨害行為(サボタージュ)」にあたり、当時の法律に従えば明確な犯罪行為となります。
ナチス政権下では、反体制的な行為は厳しく処罰される対象であり、もしこの妨害が発覚すれば、修道院の尼僧たちも重大な罰を受ける可能性がありました。
しかし、映画ではこの行為は「正義のための抵抗」として描かれています。
トラップ一家は自由を求め、ナチスの支配から逃れようとしており、修道院の尼僧たちは彼らの命を守るために協力しました。
そのため、観客はこの行為を「勇気ある助け」として肯定的に捉えるようになっています。
歴史的背景と解釈
実際の歴史においても、反ナチスのレジスタンス(抵抗運動)の一環として、ドイツ軍の車両や通信設備を妨害する行為は各地で行われていました。
ナチス政権に反対する人々は、密かにサボタージュを行い、ユダヤ人や反ナチスの人々を助けるために地下活動を行っていました。
修道院や教会もこうした抵抗運動に関与していた例があり、このシーンはそのような歴史的背景を反映しているとも考えられます。
映画的な演出としての意義
このシーンは、物語の緊迫感を高めると同時に、修道院の尼僧たちが単に信仰に生きるだけでなく、正義のために行動する勇気を持っていたことを象徴しています。
彼女たちは戦いに加わることはできませんが、静かに、しかし決定的な方法でトラップ一家を助けました。
このユーモラスかつ痛快な演出によって、観客は最後のクライマックスへと引き込まれていきます。
結論として、この修道院の尼僧たちの行為は、ナチスの法に照らせば「罪」に当たるかもしれませんが、道徳的・人道的な観点からは「正義の行為」として描かれており、映画のテーマである「自由と信念を貫く勇気」を象徴する重要なシーンとなっています。
サウンドオブミュージック その後
『サウンド・オブ・ミュージック』の物語のその後、つまり実際のトラップ一家のその後について説明します。
映画では、トラップ一家がナチスの支配から逃れるためにアルプスを越えてスイスへ向かうシーンで終わりますが、実際の歴史では少し異なる経緯をたどります。
トラップ一家の亡命
映画ではアルプスを越えてスイスへ逃げたように描かれていますが、実際には列車でイタリアへ向かいました。
トラップ大佐は、ナチス・ドイツがオーストリアを併合した際(1938年)、ナチス海軍への参加を拒否し、一家はオーストリアを離れることを決意しました。
彼らは旅行のふりをして、徒歩ではなく列車でイタリアへ渡り、その後スイスを経由して最終的にアメリカへ移住しました。
アメリカでの生活
亡命後、トラップ一家は「トラップ・ファミリー・シンガーズ(Trapp Family Singers)」として音楽活動を開始しました。
彼らは合唱団を結成し、アメリカやヨーロッパ各地で演奏を行いながら生計を立てました。
1942年、一家はアメリカ・バーモント州のストウ(Stowe)に定住し、そこで「トラップ・ファミリー・ロッジ(Trapp Family Lodge)」というホテルを開業しました。
このロッジは現在でも運営されており、観光名所の一つとなっています。
トラップ大佐とマリアの晩年
ゲオルク・フォン・トラップ大佐は、1947年に亡くなりました(享年67歳)。
その後、マリアは家族の音楽活動を続けながら、執筆活動も行いました。
彼女の著書『トラップ・ファミリー合唱団物語(The Story of the Trapp Family Singers)』が後に映画『サウンド・オブ・ミュージック』の原作となりました。
マリア自身は1987年に亡くなり、享年82歳でした。
子供たちのその後
トラップ家の子供たちは成長後、それぞれの道を歩みました。
一部の子供たちは音楽活動を続けましたが、戦後の時代の変化とともに合唱団は解散し、別の職業に就いた人もいました。
現在、トラップ一家の末裔たちはバーモント州のロッジを運営しながら、一部の家族は音楽活動や歴史を伝える活動を続けています。
『サウンド・オブ・ミュージック』の影響
映画『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年)は世界的に大ヒットし、トラップ一家の物語を広く知らしめました。
映画と実際の歴史には違いもありますが、マリアやトラップ一家の精神、音楽の力、自由を求める姿勢は多くの人々に感動を与え続けています。
現在でも、映画のロケ地であるザルツブルクは観光名所となり、『サウンド・オブ・ミュージック』ツアーが人気を博しています。
トラップ一家の物語は、映画の後も続き、自由を求めた勇気ある決断と音楽を通じた家族の結びつきが、長く語り継がれることになりました。
サウンドオブミュージック 伝えたいこと
『サウンド・オブ・ミュージック』が伝えたいことは、「家族の愛」「音楽の力」「自由の尊さ」「信念を貫く勇気」といった普遍的なテーマです。
映画は単なるミュージカル作品ではなく、戦争の時代背景を通じて、人々が逆境の中でどのように生き抜くのかを描いています。
まず、この作品は家族の絆の大切さを強く伝えています。
トラップ大佐は妻を亡くした悲しみから、子供たちとの距離を置いていましたが、マリアの存在と音楽の力によって、本来の温かさを取り戻していきます。
厳格だった大佐が、家族との時間を大切にするようになる姿は、観る人に「本当に大切なものは何か?」を問いかけます。
また、音楽の持つ力も大きなテーマです。
マリアは音楽を通じて子供たちと心を通わせ、さらにトラップ家は歌を歌うことで困難な状況に立ち向かいます。
特に「エーデルワイス」はオーストリアへの誇りを象徴する歌として、国を追われることになったトラップ一家の強い思いが込められています。
音楽は単なる娯楽ではなく、人々を勇気づけ、希望を持たせる力があることを、この映画は教えてくれます。
そして、この物語の根底には「自由の尊さと信念の大切さ」が流れています。
ナチスの支配が迫る中、トラップ大佐は権力に屈せず、自らの信念を貫くことを選びます。
ナチスへの協力を拒否し、家族とともに逃亡する彼の姿は、「どんな時代でも、自分が正しいと信じる道を選ぶことが重要だ」というメッセージを強く伝えています。
さらに、マリアの生き方からは「勇気を持って新しい一歩を踏み出すこと」の大切さが感じられます。
修道院にいた彼女は、自分の居場所を見つけられず悩んでいましたが、トラップ家に行くことで新たな人生を見つけます。
これは、私たちが人生で直面する選択や挑戦に対しても、勇気を持って前に進むことが大切だという教訓となります。
『サウンド・オブ・ミュージック』は、世代や時代を超えて愛される作品ですが、それは単に美しい音楽や感動的なストーリーだけでなく、「人生の中で大切なものは何か」という普遍的なメッセージを伝えているからです。
家族の愛、音楽の力、自由を守る勇気、そして人生を切り開く勇気――これらのテーマが、多くの人の心に響き続けているのです。
サウンドオブミュージック 子供 現在
『サウンド・オブ・ミュージック』でトラップ家の子供たちを演じたキャストたちは、映画公開から数十年を経て、それぞれの人生を歩んでいます。以下に、主なキャストの現在についてまとめます。
長女 リーズル役:チャーミアン・カー チャーミアン・カーさんは、2016年に73歳で亡くなりました。映画出演後は女優業を引退し、インテリアデザイナーとして活動していました。
次女 ルイーザ役:ヘザー・メンジース ヘザー・メンジースさんは、2017年に68歳で亡くなりました。映画出演後も女優として活動し、テレビドラマなどに出演していました。
長男 フリードリッヒ役:ニコラス・ハモンド ニコラス・ハモンドさんは、現在も俳優として活動を続けています。映画出演後、テレビシリーズ『スパイダーマン』のピーター・パーカー役などで知られています。
次男 クルト役:デュアン・チェイス デュアン・チェイスさんは、映画出演後に俳優業を離れ、地質学者としてキャリアを築きました。現在は引退し、家族と共に静かな生活を送っています。
三女 ブリギッタ役:アンジェラ・カートライト アンジェラ・カートライトさんは、現在も女優や写真家として活動しています。映画出演後、テレビシリーズ『ロスト・イン・スペース』などに出演しました。
四女 マルタ役:デビー・ターナー デビー・ターナーさんは、映画出演後に女優業を離れ、フローリストとして活動しています。現在はミネソタ州で花屋を経営しています。
五女 グレーテル役:キム・カラス キム・カラスさんは、映画出演後も女優として活動しましたが、後に引退し、現在は家族と共に静かな生活を送っています。
2022年には、主演のジュリー・アンドリュースさんがAFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)より生涯功労賞を受賞し、その際にトラップ家の子供たちを演じたキャストのうち5人が集まり、再会を果たしました。
彼らはそれぞれの道を歩みながらも、『サウンド・オブ・ミュージック』のキャストとして深い絆で結ばれています。
映画公開から数十年が経過しましたが、彼らの友情は今も続いており、ファンにとっても喜ばしい出来事となっています。
サウンドオブミュージック:まとめ
- 『サウンド・オブ・ミュージック』はリチャード・ロジャースが作曲し、今も世界中で愛されている
- 物語は家族の絆、音楽の力、自由への憧れを描いた感動的なストーリー
- マリアはトラップ家の家庭教師となり、子供たちの心を音楽で開いていく
- 時代背景は1938年のナチス占領下のオーストリアで、自由を求める物語が展開する
- リーズルは郵便配達員のロルフと恋に落ちるが、彼はナチス側につき裏切る
- トラップ一家の逃亡は実話を基にしているが、映画では脚色されている
- 映画の最後では一家がアルプスを越えてスイスへ向かうが、実際は列車で亡命
- 修道院の尼僧たちはナチスの車の部品を外し、トラップ一家の逃亡を助けた
- 亡命後、トラップ一家はアメリカで「トラップ・ファミリー・シンガーズ」として活動
- トラップ一家はバーモント州に定住し、現在もそのロッジが運営されている
- 映画が伝えたいのは、家族の愛、音楽の力、自由を守る勇気の大切さ
- 子供たちを演じた俳優の一部は他界し、現在も活躍する者もいる
- 2022年にジュリー・アンドリュースの生涯功労賞受賞の際、キャストが再会した
- 『サウンド・オブ・ミュージック』は実話を元にした名作ミュージカルである
- 映画のロケ地ザルツブルクは今も観光名所となり、ツアーが人気を集めている