『アメリカンスナイパー』は、クリス・カイルの壮絶な人生とその悲劇的な最期を描いた映画です。この映画は公開当初から多くの注目を集め、多くの観客に衝撃を与えました。この記事では、映画のラストシーンにおけるクリス・カイルの死の背景に迫り、撮影中のエピソードや話題となったドリルのシーン、さらに映画に登場する謎のキャラクター「ブッチャー」の実在性についても検証していきます。クリント・イーストウッド監督が手掛けたこの作品の裏側に迫ることで、より深い理解と新たな発見を提供します。
アメリカンスナイパー：ドリル
戦闘地域のはずが長老だという人物の家にはその一家が避難せずに残っていました。アメリカの部隊が突撃し彼に色々と情報を求めたのですが、その行為自体が一家に災難をもたらしてしまうのが残念でした。この戦闘下では米兵との接触を持っただけで疑われてしまうので、こうなった以上目立たない様に早く米兵たちを家の中に入れたい長老なのですが、もうそれさえもリーダー達に見られていたのです。
その後広場に連れ出された彼の息子は、ドリルで頭をえぐられて死んでしまいました。それを阻止したいクリスですが、イラク側にもオリンピックの射撃選手だった凄腕のスナイパー・ムスタファが控えていて思うように動けないのがジレンマでした。その時の残虐な子供の殺害シーンは直前で映像が切り替わるので直接的なえぐいシーンは映ってはいないものの、相手の非道さがヒシヒシと伝わって来ます。
アメリカンスナイパー：最後なぜ殺された
映画『アメリカン・スナイパー』の最後に、クリス・カイルは退役軍人のチャド・リトルフィールドと共に射撃場でエディ・レイ・ルースという元海兵隊員に殺されます。これは実際の事件に基づいています。
実際の事件は、2013年2月2日にテキサス州で発生しました。クリス・カイルとリトルフィールドは、退役軍人のPTSD（心的外傷後ストレス障害）の治療の一環としてエディ・レイ・ルースを射撃場に連れて行きました。しかし、ルースはその場で二人を射殺しました。
ルースは後に逮捕され、裁判で精神的な問題が議論されましたが、2015年に二重殺人の罪で終身刑を宣告されました。クリス・カイルの死は、多くの人々に衝撃を与え、彼の遺産とともにその悲劇的な結末も広く知られることとなりました。
アメリカンスナイパー：撮影中 死亡
この映画のモデルとなっているクリス・カイルは実在の人物で、彼の自伝「American Sniper」(2012年)をもとに作られています。2014年公開のこの作品ですが、クリス・カイルは2013年2月に死亡しています。作中と同じく、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩むクリスが、同様の悩みを持つ退役軍人により射殺されています。現実では撮影中に死亡したという訳ではなく、これから映画化が進んで行こうとする時点で彼は亡くなったのです。
アメリカン スナイパー：銃
クリス・カイルの凄腕を実証するのが、あの1,920mの距離を射止めたという記述が原作にも描かれていて、その時の銃はマクミランTAC338だそうです。更に著作の中で言われているのは、Mk13を一番よく使っていたとの事です。銃は全く詳しくないので自信は無いのですが、彼の屋上での狙撃シーンの銃を注視して見ると、前半はMk11(SR-25)・後半ではMk-1ではないかと思われる銃を扱っています。
アメリカンスナイパー：ブッチャー 実在
映画『アメリカン・スナイパー』に登場する「ブッチャー」（The Butcher）は、クリス・カイルの狙撃手としての任務において大きな脅威として描かれていますが、実在の人物ではありません。このキャラクターはフィクションであり、映画のストーリーテリングのために創作されたものです。
クリス・カイルの自伝や他の信頼できる資料には、「ブッチャー」という名前の特定の敵についての記述はありません。映画製作においては、ドラマチックな要素を加えるために、架空のキャラクターや状況が追加されることがあります。この場合も、「ブッチャー」はそのような創作の一環として描かれたと考えられます。
映画の他の部分も同様に、現実の出来事に基づきつつも、物語をよりエンターテイニングにするために脚色や変更が加えられています。
アメリカンスナイパー：肘
映画『アメリカン・スナイパー』の中で、クリス・カイルが彼の肘に問題を抱えているシーンが描かれています。これは映画の一部であり、彼が狙撃任務を遂行する中で身体的な痛みや負担に対処する必要があったことを示しています。
実際のクリス・カイルも、軍でのキャリアの中で身体的な問題に直面していましたが、肘に特化した問題が彼の自伝や他の主要な資料で詳細に言及されているわけではありません。ただし、彼のような狙撃手にとって、長時間にわたる過酷な任務や頻繁な射撃は身体に大きな負担をかけるため、関節や筋肉に痛みを抱えることは十分に考えられます。
映画は、彼の経験や苦難を視覚的に強調するために、こうした身体的な問題を取り入れています。これにより、観客は彼の任務の厳しさや、彼がどれほどの困難を乗り越えてきたかをより深く理解することができます。
アメリカンスナイパー：赤ちゃん
映画『アメリカン・スナイパー』には、クリス・カイル（ブラッドリー・クーパー）と彼の妻タヤ（シエナ・ミラー）が赤ちゃんを抱くシーンがあります。このシーンで使用された赤ちゃんが非常に明らかに人形であることが、映画公開時に多くの観客や批評家の間で話題になりました。
この人形が使われた理由について、映画の製作陣は後に説明しています。実際の赤ちゃんが出演する予定でしたが、その赤ちゃんが当日体調不良になり、代わりの赤ちゃんも見つからなかったため、急遽人形を使用することになったとされています。このような撮影のトラブルは時折発生するものであり、スケジュールや予算の都合上、他の方法が取れなかったと考えられます。
このシーンの人形の不自然さは、映画全体のリアリティに影響を与えたとする批評もありましたが、それでも映画は全体的に高く評価され、多くの賞を受賞しました。
アメリカンスナイパー：PTSD
映画『アメリカン・スナイパー』では、クリス・カイルが戦場での経験から心的外傷後ストレス障害（PTSD）に苦しむ様子が描かれています。このテーマは、彼の軍人としてのキャリアと個人的な生活の両方に深く影響を与えます。
実際のクリス・カイルも、イラク戦争での過酷な経験からPTSDに苦しんでいました。彼の自伝やインタビューでは、彼がどのように戦場の記憶と向き合い、家族や日常生活に戻ることの難しさについて語っています。PTSDは、多くの戦闘経験を持つ退役軍人に共通する問題であり、クリス・カイルもその例外ではありませんでした。
映画では、カイルが帰国後にPTSDと戦う様子がリアルに描かれています。彼の妻タヤとの関係が緊張し、日常生活に適応するのが困難であることが強調されています。カイルは、自分自身を取り戻すために、他の退役軍人を支援する活動に取り組みました。彼は射撃場で退役軍人を助けることを通じて、自身のPTSDと向き合い、克服しようとしました。
悲しいことに、クリス・カイルは2013年に、彼が支援しようとしていたエディ・レイ・ルースによって殺害されました。この事件は、PTSDの影響がいかに深刻であるかを改めて世間に認識させるものであり、退役軍人のメンタルヘルスの重要性についての議論を引き起こしました。
『アメリカン・スナイパー』は、戦争の英雄の栄光だけでなく、その影に潜む心理的なトラウマとその影響を描くことで、多くの観客に強い印象を残しました。
アメリカンスナイパー：ルース役
映画『アメリカン・スナイパー』でエディ・レイ・ルース（Eddie Ray Routh）を演じたのは俳優のルーク・グライムス（Luke Grimes）です。ルースは実際にクリス・カイルと彼の友人チャド・リトルフィールドを殺害した人物であり、映画の最後にこの悲劇的な事件が描かれています。
エディ・レイ・ルースは、イラク戦争とハイチ地震の後にPTSDに苦しんでいました。彼の精神的な不安定さが最終的に悲劇的な結果をもたらし、2013年2月2日にクリス・カイルとチャド・リトルフィールドを射撃場で殺害しました。この事件は、戦争帰還兵が直面するメンタルヘルスの問題に対する社会の関心を高めました。
映画では、ルースの背景や動機については深く掘り下げられていませんが、彼の行動がクリス・カイルの人生にどれほど大きな影響を与えたかを描くために重要な役割を果たしています。この事件は、戦争の英雄であるカイルの悲劇的な最期を強調し、退役軍人のメンタルヘルス問題の重要性を強調する要素となっています。
アメリカンスナイパー：ラスト意味
ラストに主人公が殺されてしまったのは、どういう意味が含まれているのでしょうか。実際に起こった事であると言ってしまえばそれだけなのですが、あえて取り入れたのは退役軍人の苦悩を強く訴えたかったのではと思いました。
以前から、過酷な戦争に出ていた軍人が平和な祖国に戻ってくるとPTSDを発症し、悪くすればうつや自殺へと繋がってしまうという大きな問題を抱えています。他にも、軽度の外傷性脳損傷（TBI）によってPTSDに似た症状を訴える人たちも少なからずいるのも忘れてはいけないと思います。なのでただのスナイパーとしてのヒーローものではない、心身共に戦争が与える害の大きさを社会問題としても取り上げたかったのではないでしょうか。
アメリカンスナイパー：ムスタファ実在
映画『アメリカン・スナイパー』に登場する「ムスタファ」（Mustafa）は、イラクの反乱軍の狙撃手として描かれ、クリス・カイルにとって大きな脅威となるキャラクターです。このキャラクターは、映画に緊張感を持たせるための重要な要素ですが、実際にはフィクションであり、特定の実在の人物に基づいているわけではありません。
クリス・カイルの自伝『American Sniper』には、彼がイラクで対峙した多くの敵の中に熟練した狙撃手がいたことが述べられていますが、映画に描かれているような「ムスタファ」という特定の狙撃手についての詳細な記述はありません。映画制作においては、ストーリーをドラマチックにするために、このような架空のキャラクターが追加されることがあります。
「ムスタファ」はそのような創作されたキャラクターであり、映画の中でクリス・カイルと彼の部隊に対する大きな脅威として描かれることで、物語に緊張感と対立を与えています。
アメリカンスナイパー：敵 オリンピック
映画『アメリカン・スナイパー』に登場する敵の狙撃手ムスタファは、かつてオリンピック選手であったとされています。この設定は映画におけるドラマチックな要素の一つですが、実際のクリス・カイルの自伝にはそのような人物は登場しません。
クリス・カイルの自伝『American Sniper』には、彼がイラクで対峙した多くの敵の狙撃手について言及されていますが、映画のムスタファのような特定のオリンピック選手出身の狙撃手についての記述はありません。映画制作においては、物語の緊張感を高めるために、このようなキャラクターが創作されることがあります。
したがって、映画に登場するオリンピック選手出身の敵狙撃手ムスタファはフィクションであり、実在の人物ではありません。映画は実話に基づいていますが、エンターテイメントとしての要素を加えるために、一部のキャラクターやエピソードが創作されています。
