映画「ミュージアム」は、猟奇的な殺人を描いたスリラーで、その衝撃的な内容と演出が観客に強烈な印象を残します。この作品は、16歳以上向けに分類されていますが、そのグロテスクなシーンの連続は、同じ年齢制限の他の作品と比較しても異例の強烈さです。
家族関係の薄れた絆や犯人の卑劣な行動も物語の中で重要な役割を果たし、観る者に精神的な負担を与える可能性があります。特に、犯人が芸術と称して行う残忍な殺害方法や、無実の人々を罪に問う裁判の不条理さが、映画の中で”ひどい”と感じさせる点です。
また、物語の後半では、一家が犯人に拉致された際の展開があり、犯人が示す一見すると優しさのように見える行動が、実は彼の狂気をさらに際立たせます。映画は、平和を取り戻したかのように見える家族の終わりのシーンで終わりますが、息子の異変が新たな問題を暗示しているため、観客に不安と緊張を残します。
ミュージアム映画:気まずい
この作品では16+となっています。他の同じ16+作品ではそんなに気まずいシーンってあったかな?と思ってしまう事もしばしばでしたが、本作は最初から最後まで猟奇的な殺害現場などが多く出てくるので、例え16歳以上だとしても、血が苦手とか刺激の強いグロテスクな映像などが苦手な方は避けた方が良いと思います。
また、家族間の気薄となってしまっていた絆も表現され、そこに付け入って来る犯人の卑劣な様子に気まずさを感じるかも知れません。
ミュージアム映画:ひどい
この映画の広い意味で”ひどい”と感じる部分は多々ありました。先ずは犯人の殺害方法で、尋常ではないその表現方法が本人曰く「芸術だ」としている点です。
それも自分とは全然違う人間を犯人だと決定した裁判関係者に向けたその理不尽な理由にも、”ひどい”というか”腹立たしさ”を感じさせられました。その様に前半は猟奇的に殺害されたシーンが続きグロさもマックスだったのですが、後半の沢村一家が犯人に捕らわれてから少し気になった点があります。
あれ程残忍な事を繰り返してきた犯人が、拉致した沢村にハンバーガーを提供するシーンがありました。私の中では「ハンニバル」というタイトルが頭の中を駆け巡ったのですが、結局この一家は殺されなかったのです。この点でも”主人公達に手を緩めた”感が大きくなってしまい、ここにきて精神的に追い詰めたかっただけの展開に、前半が迫力あっただけに少し尻しぼみな感じを受けてしまいました。
ミュージアム映画:最後のシーン
事件から数か月経って、沢村夫婦が息子の運動会を見に行っている様子はみんな笑顔で、一家は何とか平和な日常を取り戻したかのように映りホッとさせられます。
しかし、その後の最後のシーンで、ビデオカメラに収まる息子がやたら首元を掻いているところに注目です。最後のシーンで犯人と同様の症状が出て来た沢村の息子、この後半の事件を体験し、本人らも気づかない部分で大きなストレスを抱えてしまったのだと思います。この一家のその後がとても心配な終わり方でした。
ミュージアム:最後注射
逮捕された犯人が瀕死の状態で入院している時に、双子の妹(女医)が注射を使って彼に手を掛けます。その時に言った言葉が印象的でした。”あなたの症状は心因性によるものだ”と。「光線過敏症」が心因性にもよると映画では言っていますが、これは悲惨な出来事を目の当たりにした時に強い光(カメラのストロボなど)も体験し、それがイコールとなり心に大きなストレスを植え付けてしまったと解釈しました。
双子の妹は今までの兄の犯行を知っていた様に思うしそれをなんとか治そうとしていたのでしょうが、2人の関係性も最後にもっと掘り下げて表現して欲しかった気がします。しかし沢村が尋ねてきた時に、兄をかばうのなら知らないとつっぱねても良かったのに、渋々と言ってしまった辺りからは「もうどうしようもないところまで来ている」のを感じて、それからの注射事件にまで心境が変化して行ったのかなぁと推察します。